保育園日記

行事のなかに宿る心

[平成27年2月4日]

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保育園には様々な年中行事がありますが、行事のたびに思うのは、そこに込められた心を大人が子どもに語って聞かせることの大切さです。特に日本古来の伝統行事ではそれが重要です。

 

日本の伝統行事にはいつも祈りが込められています。例えば子育ての中で行われることの多い、お七夜、初参り、初節句、お食い初め、七五三などの行事。これらは皆、子どもの健やかな成長を祈る行事です。そして、その祈りの奥には何気ない日常への感謝があるのだと思います。日々を大切に想う感謝の心が祈りとなり、祈りが形となって行事を作り、その行事を通じてまた感謝を深めていく。そういうことを私達は繰り返してきたのです。

 

昨日、保育園で節分の豆まきをしました。豆まきは鬼払い、つまり厄払いであり無病息災の祈りです。医療や科学が今ほど進んでいない時代には、疫病や災害などの多くが鬼の仕業と考えられていました。(いや、本当は今でも鬼の仕業なのかもしれませんが…。)晦日(最後日)の夜は特に鬼が悪さをすると考えられていたので、冬の終わりの日である節分の夜に、邪気を払い清め、新しい春を皆が無事健康で迎えられますようにと祈ってきたのです。そして今日が立春。新しい春の始まりです。

 

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その感覚を、保育者はいつも大切にしなければいけません。園行事を作るとき、つい楽しく盛り上げることばかりに力を注ぎがちです。かわいいお面製作、豆まきのイベント、本物の鬼の登場。賑やかに楽しく行事を作るのは良いですが、一方で、大人が言葉に出してしみじみと子どもに語ることの大切さも忘れてはいけないのです。部屋の窓を開け放ち、子ども達と共に「鬼は外、福は内!」と心を込めて豆をまき、「気持ちよく新しい春を迎えることができるね。先生は嬉しいな。」「皆が元気で一緒に過ごせるのは、とても幸せなことだね。」「ほとけさま、ありがとうございます。」と。

 

楽しい行事のなかで、大人の言葉を聞き、大人の真摯な姿を見て、子どもは心を学びます。こうした伝統行事を通じて、祈りや感謝の心を子ども達のなかにしっかりと育てていきたいものです。日頃寺で色々な儀式を大切にしているせいか、行事のたびにそんなことを考えます。ささやかでいいですから、ご家庭でもぜひ実践していただきたいと思います。

 

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ふと園庭を見ると、コブシのつぼみが膨らんできています。静かに、確かに、新しい春が動き始めています。

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