カムバック
[平成19年9月19日]
このたび園庭に新しい遊具を設置しました。 この遊具の形や雰囲気を見て「ん?」と思った方はいらっしゃるでしょうか・・・?
そう、何を隠そうこの遊具は、かつての園庭のシンボルツリーだった あの「ケヤキ」です。 樹齢300年(推定)を誇った園庭のシンボルツリー、ケヤキ。 そのケヤキが何の前触れもなく突然枯れ始めたのは3年前の夏でした。 「ど、どうして…?」私をはじめ職員は皆衝撃を受けました。 樹木医の診断を仰ぎましたが、結局は原因不明。 診断に沿って緊急の大手術を実施。 まさに人事を尽くして天命を待ったのですが…。
翌年の夏、わずかに芽吹いた新芽も暑さとともに枯れ、 ついに再生不能が確定しました。 切り倒してお別れとなったのが去年の3月です。 園の創立から50年間、園児をずっと見守り続けてくれたケヤキ。 せっかくだから記念に残る何かに加工したい…。 衝立て、テーブル、ベンチ、アスレチックなど 色々考えて業者に問い合わせたりしたのですが、 結局は予算の都合もあり、処分ということになりました。
植木屋さんが伐採して切り刻んだ幹を 悲しみに暮れながら眺めていたその時、 ん…? ふと思いついたのです。 この切り株の何本かだけでも園庭に固定して 木登りみたいなことができないだろうか…。 かけられる予算はほとんど無いので、加工は一切無し。 ただしそのままではさすがに腐りやすいので乾燥だけは必要です。 そこで、選んだ部位をしばらくの間 植木屋さんが預かってくれることになりました。
それから1年半。 表皮がすっかり剥がれ落ち、程よく乾燥したケヤキが戻ってきました。 植木屋さんにはご迷惑をお掛けしました。 届いたケヤキ君、なかなか良いルックスです。 園庭に埋め込んで設置完了。 小さな切り株は椅子とテーブルになってます。 なかなか良いじゃないですか!! でもこのままではすぐに苔など付いてしまいそうなので もう少し表面をきれいに削って、 防腐剤の塗料で塗装しようと思います。 園児達は早速夢中になって登っていました。 様子を見ているとやはり落ちそうで怖いです。 地面は加工が必要か…。
枯れ始めてから3年。 切られてから1年半。 長い時間を掛けて、ケヤキ君がカムバックを果たしました。 きっとケヤキ君自身も喜んでくれているでしょう。 私も嬉しいです。 今日はみんなでケヤキの「お帰りなさい会」をしました。 これからも末永くよろしく! (木はやがて腐りますが、これだけ太ければ 放置しても恐らく15年はもつでしょう…)
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