木工作
[令和1年8月17日]
8月のお盆が終わりました。住職兼園長の私にとっては1年でもっとも過酷な1週間です。13日から3日間で約100軒のお経回り、15日に中島公園で行う大泉地区戦没者慰霊法要、そして16日に本堂で行う施餓鬼大法要…。おまけに今年は17日が土曜ということで法事が2件あり…。保育園には何の関係もないですが、とにかく今年もなんとか無事に乗り切ることができました。よかった〜!
で、フラフラの体に鞭を打って(?)土曜午後の園庭をブラブラしていたら、年長の担任が声を掛けてきて、いいものを見せてくれました。
これです。新幹線。
なんか元気出てきたぞー!笑
鉄橋をくぐって走る新幹線。わお、かっこいい。
作りかけのミニテーブル。
これは、時計? などなど。
これらは年長の子供達が遊びで自由に制作しているものたちです。このお盆の間に、年長クラスでは建築端材を材料にして、釘、トンカチ、ノコギリなどを使って子供が自由に制作できる環境を整えはじめたんだそうです。
手先の器用な子、不器用な子、構成力がある子、ない子、ものを作り込むことが好きな子、釘をただ打ち付けるのが楽しい子…、色々です。一人一人の能力や感性によって楽しみ方はそれぞれ違いますが、概ねこの木工遊びは好評のうちに発展してきているようです。別に何か「これ」といったものを作らなければいけないということではありません。それぞれ自分の感性で制作を存分に楽しむことができれば、それが子供同士お互いの感性を刺激し合うことになります。そして、その先にはきっと更なる面白いものが出来上がっていくだろうと思います。
楽しみ。(^^)
園庭のスダジイの実が膨らんできました。こっちも楽しみ。
スダジイはどんぐりの仲間ですが、一般的などんぐりとは形が少し違います。帽子はバナナの皮のように裂け、その中に三角のとんがった感じのどんぐりが生ります。これはいわゆる「シイの実」というやつです。シイの実は食べられます。皮を剥いてそのまま生でも食べられるのです。ほんのり甘みがあって美味。フライパンで炒ったりバターで炒めたりすると、香ばしくて一層美味しくなります。昔々、縄文時代から?日本人が大切にしてきた食料の一つです。
どんぐりにはたくさんの種類がありますが、ほとんどアクが強くて食べられません。アク抜きすれば大丈夫ですが、手間の割りに大して美味しくないので食べないのだと思います。10年以上前、保育園でも子供達が収穫したどんぐり(コナラだったかクヌギだったか…)をアク抜きして「どんぐりクッキー」を作ったことがあります。楽しい活動でしたが、面倒くさいからか、その後その活動は自然消滅しました。笑
アクの無い美味しいどんぐりの代表選手が、このスダジイです。園庭のスダジイの実がこんなに大きくなったのは今年が初めて。植えてから一体何年たったでしょうか、ここまで長かった…。今年はきっと豊作です!
これでまた子供達の遊びのおやつが増えました。いや、食べるんですよ、本当に。ハイ。(^^)
こちらはマテバシイ。硬くてツヤツヤした大きな実が生ります。これも一応食べられるようですが、スダジイよりは美味しくないそうです。私は食べたことがありません。ニワトリは食べるのかな?マテバシイの硬い殻をすり潰して消化するための鳥の内臓が「砂肝」だと、何かの本で読んだことがあります…。
大きくてツヤツヤしたマテバシイは、どんぐり製作に欠かせない存在です。殻がとにかく硬いので保存性も高いんです。この木は去年から花がたくさん咲くようになりました。2年成りのどんぐりなので今年はいよいよ大豊作!と思って楽しみにしていたのですが、どうも思ったほど実がついていません。なんでだろう。今年もたくさんの花が咲きましたので、きっと来年からは豊作になってくれると思います!
栗は一応順調。たくさんの実が落ちて淘汰されましたが、残ったやつがしっかり育っている様子です。山栗ではないのでそれほど甘くはありませんし、生で食べることもできません。でも大きくてツヤツヤの実ができますので、子供達はきっと嬉しいと思います。見てよし、飾ってよし、遊んでよし、そして食べてよし。
子供達と植えたのですが、ずいぶん立派になりました。
去年大豊作だったバンペイユ。私の見る限り今年は3つしか生っていません。花がたくさん咲き実もつけたのですが、途中でほとんど落ちてしまいました。涙)まだどこかに隠れている奴があるかな…。とにかくこの3つは大事にしたいです。
去年子供達がモリモリ食べたバンペイユ。毎年モリモリ食べられるようになるといいな。
ラズベリーにも花がつき始めました。ラズベリーには一季なり(春1回収穫)と二季なり(春秋2回収穫)があり、これは二季なりの品種なので9月頃にも収穫できるんです。楽しみ!
・・・・・・・・・・・・・・・・
記事の前半と後半で大分内容が変わってきてしまいましたが、ここまできたので敢えて書いておきたいと思います。
採って食べる。これは人間の、いや全ての動物の最も原始的な営みだと思います。ある幼児教育の先生が、「自然とのつながりを感じる上で、食べるという行為が最もつながりを感じることができる。食べることを通じて、この環境がそのまま自分の身体を成り立たせていることを身をもって感じることができる。食べ物はスーパーにある商品ではなく、もともと生きて、花が咲き、実がなったものだという、命の存在や循環などに触れる機会になる。」とおっしゃっていました。その通りだと思います。
そういう体験が今の子供達にはもっともっと必要です。季節を感じ、時期を見極め、色や形や感触などで収穫時期を見計らい、鳥や虫たちと戦い(ライバルです)、そして採って食べる。美味しい、甘い、酸っぱい、苦い。これはまさに教育です。五感を使った教育。自然とともに生きていくための教育。保育園の教育とは、そういうものなのです。これは人間の基礎を作るとても重要な教育です。
お盆…。先祖に思いを馳せ、手を合わせ祈りましょう。人類が自然と共に営々と積み重ねてきた命の営みに感謝し、そこから受け継いだ今の私たち自身の命を見つめ、そして子供達の豊かな未来を祈るのです。
ということで、うまく話がまとまりました。(かな〜?)
実りの秋が楽しみです!(^0^)
室内の自然遊び
[令和1年8月10日]
連日の猛暑。気温と湿度の関係から割り出される暑さ指数(WBGT)が高く、熱中症の危険があってなかなか外遊びを充実させることができません。緑に囲まれた妙福寺保育園ではありますが、苦しいところです。
ちなみに園では「熱中症指数計」という機械を導入し、現場のその時の実測値をもとに外遊びの可否を判断しています。
お部屋を覗いてみると、いくつものたらいに水を張って子供達が何かやっています。部屋には盆踊りの音楽が流れています。
「お祭りの雰囲気にしようと思って。(^^)」と保育者。
「釣りしてんの。」と、子供が楽しそうに報告してくれました。
釣りっていうか、まあ、金魚すくいならぬキャップすくいですけどね。笑
こういう室内遊びでも、園庭の植物をちょっと摘んで加えてやるだけで子供の体験値は格段にアップ。
バジルのいい匂いが部屋に充満。
「お花はお水に入れてあげないと元気にならないから。」と、自らボトルに水を汲んでバジルの株を生ける女の子。
葉っぱと白い花で黙々と遊び続ける男の子。パッと私の方を振り返って満面の笑みで一言。
「いい匂い!」(ニッコリ)
ペットボトルでバジル水も作られている模様。
色、匂い、感触。植物は子供の五感をたっぷり刺激します。そして自然の色彩やアロマで心身を心地よくリラックスさせてくれたりもします。なんて素晴らしい教材でしょう。夏の猛暑日の室内遊びでも、保育者の工夫一つでこんなに豊かな「自然遊び」ができるんです。
「自然遊び」を難しく考える必要はありません。庭先や道端に生えている雑草などの草花をとりあえず子供と一緒に摘み取って室内に持ち込んでみてください。葉っぱにクレヨンで色をつけたり、ちぎって画用紙の上に並べてみたり、折り紙にセロテープで貼り付けたり、水に浮かべて眺めたり。細長い葉っぱをハサミでただチョキチョキと切っていくだけだって、子供にはとても楽しい遊びになります。そしてそれは子供の指先の感覚を養い、脳を豊かに刺激してくれる教育になります。身近な自然を室内に持ち込むことによって、子供の遊びの世界がそれこそそこから自然に広がっていきます。
おうちでも、ぜひやってみてください。